届け方の4C、立ち位置の3C。モヤモヤがスッキリ整理されるマーケ思考入門

ビジネス言語

4C=伝え方
3C=立ち位置
あなたのマーケティングが進み出す起点になる話

  1. 4Cと3Cの違いとは?“届ける”と“立ち位置”を整理するマーケ思考の基本
    1. 「4Cと3Cって、どう違うの?」
  2. 視点の違いをつかむ
    1. 「伝える」4Cと「立ち位置を決める」3C
    2. ■ 4Cとは:「買いやすく」「伝わりやすく」する設計図
    3. ■ 3Cとは:「誰に」「どんな価値を」「どう違う形で」届けるかを決める地図
    4. 覚えておきたい視点の違い
  3. 使い方の違いをつかむ
    1. どんな場面で、どっちを使う?
  4. 順番より“行き来”が大事
    1. あなたの状況で考える、使い分けのヒント
  5. 4Cと3Cは“届けるため”と“立つ場所を決める”ための両輪
  6. 1. 売れる仕組みは“3つのC”で見えてくる
    1. 「なんであの商品は売れてるんだろう?」と思ったこと、ありませんか?
    2. 3Cとは?
    3. 「売る」のではなく「選ばれる」ために必要な3つの視点
    4. それぞれのCはこう活かす
    5. 「誰かの役に立ちたい」なら、3Cを味方にしよう
    6. 3Cは、難しい理論ではない
    7. 次回から、それぞれのCをじっくり深掘りしていきます。
  7. 2. Customer(市場・顧客)〜誰に、どんな価値を届けたいのか?
    1. 「誰に売るか」を明確にできていますか?
    2. 顧客を“属性”ではなく、“感情”で見る
    3. 具体例:コーヒーを売るとしたら?
    4. 小さな共感が、大きな購入理由になる
    5. ペルソナが難しい人へ:まずは「たった一人」を思い浮かべる
    6. 質問で整理する:Customerの理解を深める5つの問い
    7. Customerを理解するとは、生活と感情に寄り添うこと
  8. 3. Competitor(競合)〜“敵”を見るのではなく、“参考”にする
    1. 「似たような商品、たくさんあるな…」と感じたことはありませんか?
    2. 競合を「つぶす」必要なんて、まったくない
    3. 「売れている競合」ほど観察して学ぼう
    4. 差別化は「違い」ではなく「らしさ」から生まれる
    5. 実例:競合分析でポジションを見つけた個人店の話
    6. 競合を観察するときの3つの問い
    7. 競合は恐れなくていい。むしろ感謝すべき存在かもしれない
  9. 4. Company(自社・自分)〜自分の“強み”を見つけて活かす
    1. あなたの強みは何ですか?
    2. 強みとは「人より秀でていること」ではなく、「喜ばれていること」
    3. 自分の中の「当たり前」が、誰かにとっての「特別」かもしれない
    4. 実例:小さなこだわりを強みに変えたカフェの話
    5. 自分の「好き」「大切にしたいこと」に目を向けよう
    6. 自分の強みを見つけるための問いかけ
    7. 「あなたに頼みたい」と言われる理由は、あなたの中にある
  10. 5. 3Cを組み合わせて考えると見えてくる「選ばれる理由」
    1. 1つずつのCを理解するだけでは、まだ不十分
    2. 3つの円が重なる“中心点”を見つける
    3. 実例:3Cでポジションを明確にしたイラスト作家のケース
    4. 「選ばれる理由」は“論理”ではなく“共感”でつくる
    5. あなたの「3C重なりポイント」を見つけるヒント
    6. 3Cは“分析のため”ではなく“自分を届けるため”の設計図
  11. 6. 具体的な3C活用事例:スモールビジネス・サービス業・個人発信まで
    1. 「3C、理解はできたけど、実際どう使えばいいの?」
    2. 事例①:地域密着のリラクゼーションサロン(サービス業)
    3. 事例②:副業で始めたオリジナルTシャツ販売(スモールビジネス)
    4. 事例③:個人で発信をしているライター(個人活動)
    5. どんなジャンルでも使えるのが3Cの強み
    6. 3Cで考える習慣が、あなたの発信・行動を変えていく
  12. 7. あなたのビジネスを3Cで書き出してみよう
    1. 頭でわかっていても、実際に手を動かさなければ何も変わらない
    2. まずは、シンプルに3つのCを並べよう
    3. 書いてみたら、「つながり」を考えてみよう
    4. 思いつかないときは「過去の自分」をターゲットにしてもOK
    5. 書くことで、曖昧だったものが“カタチ”になる
    6. まとめ:3Cは考えた瞬間から、あなたの“ブランド”になる
  13. 8. まとめ:3Cは“戦う”ためではなく、“選ばれる”ための思考法
    1. 売ることは、誰かと戦うことではない
    2. 「売り込む」ではなく「選ばれる」ために
    3. 3Cは、あなた自身の“翻訳機”
    4. 最初から完璧な答えは出なくていい
    5. 最後に:3Cは、あなたの想いを“届く形”に変えてくれる

4Cと3Cの違いとは?“届ける”と“立ち位置”を整理するマーケ思考の基本


「4Cと3Cって、どう違うの?」

マーケティングを学び始めたとき、多くの人が一度はこう思います。

  • 4Cも3Cも大事って聞くけど、何がどう違うの?

  • 自分にはどっちが合ってるんだろう?

  • 使い分けのタイミングがわからない…

この記事では、そんなモヤモヤをスッキリ整理して、「今、自分はどっちを使うべきか」がわかるようにまとめています。


視点の違いをつかむ

「伝える」4Cと「立ち位置を決める」3C

まず、それぞれが何を目的とした考え方なのかを確認しましょう。


■ 4Cとは:「買いやすく」「伝わりやすく」する設計図

4Cは、顧客視点で「どう届けるか」を整えるフレームワークです。

  • Customer(顧客):相手が“本当にほしい”ものは何か?

  • Cost(コスト):価格だけでなく、手間・時間・不安など見えない負担は?

  • Convenience(利便性):すぐ使える・迷わない・簡単にたどり着ける仕組みは?

  • Communication(対話):一方通行ではなく、関係を築けているか?

 ゴールは「スムーズに選ばれて、気持ちよく買ってもらう」こと。


■ 3Cとは:「誰に」「どんな価値を」「どう違う形で」届けるかを決める地図

3Cは、自分の立ち位置を見つけて、他と差別化できる軸を明確にするフレームワークです。

  • Customer(市場・顧客):どんなニーズが存在しているか?

  • Competitor(競合):その市場で他は何をしている?どんな強みがある?

  • Company(自社):その中で自分が提供できる価値は何か?

ゴールは「他と違う、自分らしいポジションで選ばれること」。


覚えておきたい視点の違い

  • 4C:お客さんの心に「どう届くか」を整える

  • 3C:自分が「どこに立って、どう届けるか」を決める

どちらも顧客視点ですが、
4Cは“届け方”、3Cは“届けるための土台”を考えるという違いがあります。


使い方の違いをつかむ

どんな場面で、どっちを使う?

● こんなときは【4C】を使おう

  • 発信や販売の導線を見直したい

  • 「伝え方」や「見せ方」がうまくいかない

  • お客さんの立場に立って、買いやすくしたい

→ SNS、販売ページ、接客トークなど、
“今あるもの”を改善したいときに強い味方


● こんなときは【3C】を使おう

  • 「誰に届けたいのか」がぼやけている

  • 自分の強みや違いがわからない

  • そもそも何を軸にビジネスをするか悩んでいる

→ 商品開発、起業・副業準備、サービスの方向性決めなど、
“これから考えること”に使える戦略思考


● 片方だけじゃ足りない

たとえば、

  • 4Cだけだと「届け方は上手でも、何を届けるかがぼんやり」

  • 3Cだけだと「芯はあるけど、届け方が整ってないから伝わらない」

だからこそ、両方を行き来しながら使うことが大切なんです。


順番より“行き来”が大事

あなたの状況で考える、使い分けのヒント

▶ まず「自分の軸を見つけたい」人は3Cから

→ 競合と比べて、自分にしかない価値は何か?
→ どんな人に、どんな気持ちで届けたいのか?


▶ すでに商品や発信がある人は4Cから

→ 届け方を見直すだけで、反応がガラッと変わることもあります
→ 特にSNSやネット販売では即効性あり


▶ 最終的に目指すのは…

  1. 3Cで“土台”を整える(誰に・何を・どう違うか)

  2. 4Cで“届け方”を磨く(共感され、選ばれる導線をつくる)

この両方がそろってはじめて、
自然に選ばれるブランドやビジネスができあがります。


4Cと3Cは“届けるため”と“立つ場所を決める”ための両輪

「どちらが正しいか」ではなく、
「どちらを今使うと、前に進みやすいか?」で考えること。

大切なのは、
“自分の想いを、必要としている誰かにきちんと届ける”
という目的です。

つづいて3Cの本編へ。
あなたの価値を言語化し、「らしさで選ばれる」ポジションを一緒に見つけていきましょう。

1. 売れる仕組みは“3つのC”で見えてくる

「なんであの商品は売れてるんだろう?」と思ったこと、ありませんか?

例えば──
・新商品なのに、発売直後からバズってる飲み物
・どこにでもあるのに、いつも行列ができてるパン屋
・同じようなサービスなのに、片方だけ人気が集中してる

そんな
「なぜか売れてるもの」には、
実は共通する“考え方の設計”があります。
それをシンプルに整理できるのが、
マーケティングの基本フレームワーク「3C」なんです。


3Cとは?

「3C」とは、以下の3つの“C”の頭文字を取ったものです。

  • Customer(市場・顧客)

  • Competitor(競合)

  • Company(自社・自分)

この3つの視点をバランスよく捉えることで、
「どうすれば売れるのか?」
「なぜ今、選ばれていないのか?」
が明確になっていきます。


「売る」のではなく「選ばれる」ために必要な3つの視点

たとえば、あなたが手作りアクセサリーを販売しているとしましょう。
一生懸命作ったのに、なかなか売れない。
それは、もしかすると“あなた自身の良さ”だけを見ていて、
「誰が欲しがってるか(Customer)」や、
「他と何が違うのか(Competitor)」の、
視点が抜けているのかもしれません。

3Cは、「いいものを作る」だけでなく、
“どうすれば選ばれるか”を考えるための地図です。


それぞれのCはこう活かす

  • Customer(顧客)
    「どんな人が、何に悩んでいて、何を求めているか?」を深掘る視点。

  • Competitor(競合)
    「他にはどんな商品・サービスがあって、何が支持されているのか?」を把握する視点。

  • Company(自社)
    「自分は何ができるのか?どんな価値を出せるのか?」を客観的に捉える視点。

これらを“同時に見て、掛け合わせる”ことで、
自分だけのポジション=「選ばれる理由」が見えてきます。


「誰かの役に立ちたい」なら、3Cを味方にしよう

多くの人がビジネスや活動を始めるとき、こう考えます。

「自分の得意なことで、誰かの役に立ちたい」
「この商品をもっと多くの人に知ってもらいたい」
「どうすれば喜んでもらえるだろうか?」

その“想い”を、きちんと形にするには、感覚だけでは足りません。
想いを「伝わるカタチ」にするための思考の道具が、3Cです。


3Cは、難しい理論ではない

ビジネス書やマーケティング用語に出てくると難しそうに見えますが、3Cの考え方はとてもシンプルです。

  • 「誰に届けたいのか?」(Customer)

  • 「他とどう違うのか?」(Competitor)

  • 「自分は何を大事にしているか?」(Company)

この3つを同時に考えることで、「選ばれる理由」がぐっと明確になります。


次回から、それぞれのCをじっくり深掘りしていきます。

次の章では、
まず「Customer(市場・顧客)」について掘り下げていきます。

「ペルソナって難しそう…」と思っている方でも大丈夫。
人の心に寄り添うように、
お客さんの本当の“欲しさ”を見つける方法を一緒に学んでいきましょう。

2. Customer(市場・顧客)〜誰に、どんな価値を届けたいのか?

「誰に売るか」を明確にできていますか?

いい商品を作ったのに売れない。
頑張ってSNSで発信しているのに反応が薄い。
それはもしかすると、届けたい相手=Customer(顧客)が曖昧なままだからかもしれません。

マーケティングで最も重要な問いのひとつが、
「誰の、どんな課題を、どう解決するか?」です。


顧客を“属性”ではなく、“感情”で見る

よくある失敗は、「ターゲットは20代女性」といった属性だけで判断してしまうこと。
でも、同じ20代女性でも、価値観やライフスタイルはバラバラですよね。

だからこそ、Customerを考えるときはこう問いかけてみてください。

  • この人は、どんな悩みを抱えている?

  • どんな毎日を送っていて、どんなときに不便を感じる?

  • 何を手にしたら「嬉しい」「助かった」「ホッとした」と思える?

お客さんの“生活の場面”と“気持ち”にフォーカスすることで、より具体的に想像できます。


具体例:コーヒーを売るとしたら?

単に「コーヒーを売る」ではなく、

  • 朝の眠気が抜けずにボーっとしている人へ
    →「朝、1杯でスイッチが入るコーヒー」

  • 頑張りすぎて疲れた夜の女性へ
    →「寝る前にホッとひと息つけるカフェインレスコーヒー」

  • 忙しいけどこだわりたい在宅ワーカーへ
    →「お湯を注ぐだけでプロの味。香り高いドリップバッグ」

こうした視点の違いが、“同じ商品”でも、まったく違う切り口で届けられることに気づかせてくれます。


小さな共感が、大きな購入理由になる

人は「自分のことをわかってくれている」と感じた瞬間に、心が動きます。
特に今の時代、「とりあえずこれでいい」ではなく、
「これがいい」と選ばれる商品やサービスが強い。

たとえ価格が高くても、ブランドが知られていなくても、
“私のことをちゃんと考えてくれてる”と伝われば、
選ばれる確率は一気に上がります。


ペルソナが難しい人へ:まずは「たった一人」を思い浮かべる

「ペルソナ設計」と聞くと、
「細かく設定しなきゃ」と構えてしまいがちですが、
最初はもっとシンプルでOKです。

  • 「こういう人に使ってほしいな」と思える、たった一人の顔

  • 友達や家族、昔の自分など、リアルに想像できる人

その人の1日を想像して、
「どのタイミングで困ってるか?」「何に価値を感じるか?」を書き出してみましょう。

そこから、意外なヒントが生まれてくることもよくあります。


質問で整理する:Customerの理解を深める5つの問い

  1. どんな人に使ってもらいたいか?

  2. その人は何に悩んでいるか?

  3. その悩みを放っておくとどうなるか?

  4. どんな瞬間に「これがあってよかった」と感じるか?

  5. それをどう伝えれば“私のことだ”と思ってもらえるか?

この問いを使って、自分の商品やサービスを顧客視点で“翻訳”してみてください。


Customerを理解するとは、生活と感情に寄り添うこと

顧客分析とは、データを眺めることではなく、誰かの暮らしを想像することです。
たった一人の「困った」「うれしい」に寄り添えたとき、あなたの商品は“特別な選択肢”になります。

次回は「Competitor(競合)」について、
「他とどう違うか?」を考えるヒントを、実例とともにお届けします。


3. Competitor(競合)〜“敵”を見るのではなく、“参考”にする

「似たような商品、たくさんあるな…」と感じたことはありませんか?

SNSを開けば、あなたと同じようなテーマで活動している人がたくさんいる。
ネットで検索すれば、似たような商品がすでに販売されている。
「自分なんて、今さら出しても意味ないかも…」
そう思ってしまう気持ち、すごくよくわかります。

でも、安心してください。
競合は“敵”ではなく、ヒントの宝庫です。


競合を「つぶす」必要なんて、まったくない

マーケティングで競合分析というと、
「勝たなきゃ」
「シェアを奪わなきゃ」
という発想になりがちですが、
個人や小さなビジネスではその考え方は逆効果。

競合は、

  • すでにお客さんがどんな価値を求めているか

  • どんな表現や切り口がウケているか

  • どこに“すき間”があるか
    を教えてくれる、最高の“教材”です。


「売れている競合」ほど観察して学ぼう

例えば、自分がハンドメイド雑貨を販売しているとして、
同ジャンルで売れている作家がいるとします。

ただ見て「うまくいってるな〜」で終わらせるのではなく、
次の視点で見てみてください。

  • どんなターゲットに向けた言葉を使っているか?

  • 写真や見せ方、ブランドの世界観はどう作られているか?

  • 値段設定や販売チャネルはどうか?

  • どの投稿に反応が多いか?ファンとの関係性は?

こうして見ると、
「自分だったらここを変えられるかも」
「この分野は手薄かも」
といった差別化のヒントが見えてきます。


差別化は「違い」ではなく「らしさ」から生まれる

競合を見ていると、どうしても比較して落ち込んだり、
「もっと目立たなきゃ」
と思ってしまうことがあります。

でも大切なのは、“何が違うか”ではなく、“自分らしさをどう伝えるか”。

たとえば──

  • 似たような商品でも、言葉の温度感が違う

  • 機能は同じでも、ストーリーが違う

  • 見せ方が同じでも、誰が作ったかで響く人が変わる

自分の価値を見つけるために、競合との違いを「否定」ではなく「ヒント」として活用してみましょう。


実例:競合分析でポジションを見つけた個人店の話

地元の商店街にある小さなベーカリー。
周囲には大手チェーンもあり、当初は価格でも商品数でも太刀打ちできませんでした。

でも、近所の競合店を分析してみると、
・大手にはない、アレルギー対応のパンが少ない
・手づくり感のあるPOPや接客が薄い
・朝型に強いが、夕方以降は選べる商品が少ない

この“すき間”に注目し、
・グルテンフリー・卵不使用パンの開発
・顔の見えるコミュニケーションとストーリー発信
・仕事帰りの人向けの商品展開
を始めた結果、常連客が増えて口コミで話題に。

「勝つ」必要はなかったのです。「自分の立ち位置を見つける」ことが、最強の戦略でした。


競合を観察するときの3つの問い

  1. その競合は「誰に」「何を」「どう届けている」か?

  2. なぜその人たちは、その商品を選んでいるのか?

  3. 自分にしか出せない“温度”や“価値”はどこにあるか?

この問いをベースに、自分の「伝え方」や「見せ方」に活かしてみてください。


競合は恐れなくていい。むしろ感謝すべき存在かもしれない

誰かと比べて不安になるのではなく、
違いを見つけて、自分らしさを磨くための参考書
として競合を見ましょう。

競合がいるということは、そこにニーズがある証拠です。
そして、あなたにしかできない表現や届け方がきっとあるはずです。

次は、いよいよ3つ目のC、「Company(自社・自分)」へ。
自分の“強み”や“軸”を掘り下げることで、自然とブレない発信ができるようになります。


4. Company(自社・自分)〜自分の“強み”を見つけて活かす

あなたの強みは何ですか?

この問いにすぐに答えられる人は、実は少数派です。
「特別な実績があるわけじゃない」
「スキルも中途半端だし、他と比べると弱いかも…」

そう思ってしまうのは当然ですが、安心してください。
Company(自社)=「あなたが持っている価値」は、必ずどこかに存在します。
そしてそれは、他人の評価ではなく「お客さんとの接点」の中に見つかります。


強みとは「人より秀でていること」ではなく、「喜ばれていること」

マーケティングにおける「強み」は、
・資格
・フォロワー数
・肩書き
のような“わかりやすいすごさ”だけではありません。

むしろ、
-「あなたに相談すると安心する」
-「あなたの言葉だと素直に受け取れる」
-「この小さなこだわりが好き」
といった、お客さんとの“感情のやり取り”の中にこそ、あなたの価値は宿っています。


自分の中の「当たり前」が、誰かにとっての「特別」かもしれない

あなたにとっては当たり前のことが、
他の人には「どうやってるの!?」「すごい!」と驚かれること、ありませんか?

  • Excelを使いこなせる

  • イラストの構図が得意

  • 丁寧な説明ができる

  • 人の話を最後まで聞ける

こうした“自分では気づきにくい価値”こそが、競合との差別化につながります。
強みは、外に出して初めて“伝わる価値”になるのです。


実例:小さなこだわりを強みに変えたカフェの話

ある地方の小さなカフェ。
料理も内装もごく普通で、SNS映えするわけでもない。
でも、常連が絶えず、口コミで評判に。

理由は「お客さん一人ひとりの名前を覚えている」こと。
2回目の来店でも「◯◯さん、こんにちは」と声をかけられる。
さらに、過去の注文や好みに合わせて「今日はこれもおすすめですよ」と自然に会話が続く。

これは大手チェーンには真似できない、“小さなこだわり”から生まれた唯一の価値です。


自分の「好き」「大切にしたいこと」に目を向けよう

Company(自分の価値)を掘り下げるには、
「何が得意か?」だけでなく、「何を大切にしているか?」を考えるのも大切です。

たとえば──

  • 丁寧な仕事をしたい

  • お客さんと長く関係を築きたい

  • 自然や地域とつながる形で届けたい

  • 自分も楽しみながらやりたい

その価値観こそが、言葉・サービス・体験ににじみ出て、選ばれる理由になります。


自分の強みを見つけるための問いかけ

  1. 過去に「ありがとう」と言われたことは?

  2. 自分では普通なのに、よく褒められることは?

  3. お客さんが喜んでくれたポイントはどこ?

  4. 他の人ならやらないけど、ついこだわってしまうことは?

  5. どんな人とつながっていたいと思っている?

これらを紙に書き出してみることで、「Company=あなたの価値の輪郭」が少しずつ見えてきます。


「あなたに頼みたい」と言われる理由は、あなたの中にある

他人と比べなくていい。
大きな数字や成果じゃなくていい。
“あなたらしさ”に共感した人が、あなたを選んでくれる──
それがCompanyの本質です。

次章では、ここまでの3Cをどう組み合わせて「選ばれる仕組み」をつくるのか。
いよいよ3Cの“掛け合わせ”に入っていきます。

5. 3Cを組み合わせて考えると見えてくる「選ばれる理由」

1つずつのCを理解するだけでは、まだ不十分

これまで、「お客さんは誰か(Customer)」「競合はどうか(Competitor)」「自分の強みは何か(Company)」を個別に見てきました。
それぞれ大切な視点ですが、3Cの本当の力は“組み合わせ”にあります。

3つの視点を重ねて考えることで、あなたの商品やサービスの「選ばれる理由」=ポジショニングが見えてきます。


3つの円が重なる“中心点”を見つける

よく図解で出てくる、3つの円が重なる「真ん中の部分」。
あれこそが、あなたのポジションです。

言い換えると──

  • Customer(誰に):ニーズがある人に向けて

  • Competitor(何と違う):他と違う切り口で

  • Company(何ができる):自分らしい価値を活かして

この3点が重なっているところにこそ、「無理なく売れて、喜ばれる場所」があるのです。


実例:3Cでポジションを明確にしたイラスト作家のケース

フリーランスのイラスト作家Aさん。
SNSでは同じジャンルの作家が溢れており、目立てずに悩んでいました。

あるとき、3Cの視点で自分を見直してみたそうです。

  • Customer(顧客):SNS投稿や商品に“優しさ”や“安心感”を求めている人

  • Competitor(競合):線が細くておしゃれなイラストを描く人が多い

  • Company(自分):ほんわかした色づかい、見る人の心が和む雰囲気

そこで彼女は、明るいパステル調で「疲れた日のひとことイラスト」を投稿するように。
「今日これ見て泣いた」「癒された」という反応が増え、そこからLINEスタンプやグッズが人気に。

「競合と違う」「お客さんの気持ちに刺さる」「自分らしい」
この3点を一致させたことで、Aさんのポジションは唯一無二になりました。


「選ばれる理由」は“論理”ではなく“共感”でつくる

マーケティングというと、数字や戦略で考えがちですが、
今の時代のポジショニングは“感覚”や“共感”の設計がカギです。

  • 「この人、わかってくれてる」

  • 「なんか好き」「信頼できる気がする」

  • 「こっちのほうが“私っぽい”」

そう思ってもらえた瞬間に、「選ばれる」が生まれます。
そのためにも、3Cを“売る側の論理”ではなく、“お客さんの目線”で組み合わせて考えることが大切です。


あなたの「3C重なりポイント」を見つけるヒント

  1. Customer(誰に)
    → 今、自分の商品やサービスを最も喜んでくれそうな人はどんな人か?

  2. Competitor(他と違う点)
    → 他の商品・発信・サービスと比べて、自分にしかない特徴は何か?

  3. Company(自分らしさ)
    → 得意なこと、自然にできること、大切にしたいことは何か?

この3つの答えが“言葉”でつながったとき、
あなたならではの「選ばれるストーリー」ができあがります。


3Cは“分析のため”ではなく“自分を届けるため”の設計図

3Cは、売るための戦略というよりも、
自分の想い・得意・世界観を、必要な人にちゃんと届けるためのフレームワークです。

考えることは少し難しいかもしれません。
でも、深く考えれば考えるほど、「自分らしい道筋」が見えてきます。

次回は、いくつかの実例を交えながら、3Cを実際のビジネスにどう活かしていけるか?
あなたのアイデアを行動につなげるヒントをお届けします。

6. 具体的な3C活用事例:スモールビジネス・サービス業・個人発信まで

「3C、理解はできたけど、実際どう使えばいいの?」

そんな声にお応えして、今回は3Cを活用して成果を出した実例を紹介します。
それぞれの立場に近い例を見つけて、自分のビジネスや活動に当てはめて考えてみてください。


事例①:地域密着のリラクゼーションサロン(サービス業)

Customer(顧客)
・近隣の30〜50代の主婦層
・「ガチガチの整体より、気軽に通える癒しがほしい」人たち

Competitor(競合)
・強めの整体や激安マッサージ店は多数ある
・価格競争が激しく、“違い”が出しにくい市場

Company(自社)
・「施術中に安心して泣ける」「人に言えない悩みも話せる」空間づくり
・アロマやお茶、照明にこだわった“癒され体験”の演出

→ 「心と体の癒しが同時に叶う場所」としてポジショニング
SNSやチラシでも“施術内容”より“感情”にフォーカスした言葉選びにシフト
→ 口コミ中心でリピート率アップ&価格競争から脱出


事例②:副業で始めたオリジナルTシャツ販売(スモールビジネス)

Customer(顧客)
・10〜20代のファッションに個性を出したい層
・“他人とカブらない”ことを重視する感性重視のユーザー

Competitor(競合)
・ロゴTやキャラTなどの大量生産品
・デザイン性が高くても、どこかで見たような感じのものが多い

Company(自分)
・「誰かの一言に救われた経験」から着想した、言葉系デザインが得意
・SNSで“刺さるフレーズ”を日常投稿→フォロワーから商品化の声が多発

→ 「言葉に救われたい人のためのTシャツブランド」として展開
単なる物販ではなく“共感できる言葉を着る”という体験に価値を持たせることでファンを獲得


事例③:個人で発信をしているライター(個人活動)

Customer(顧客)
・発信初心者、特にブログやXで「何を書けばいいかわからない」人
・書くことが苦手な個人事業主やフリーランス

Competitor(競合)
・情報量の多いSEO系ライターやWebマーケ専門家
・「知識はあるけど、ちょっと敷居が高い」と感じられがち

Company(自分)
・元・書くのが苦手だった経験をもとに、感覚的に書けるテンプレが得意
・難しい言葉を使わず「友達に話すように伝える」文章を提案

→ 「書けない人の気持ちがわかる、やさしいライター」としてポジショニング
クライアントからは「安心して相談できる」「頼みやすい」と継続依頼が増加


どんなジャンルでも使えるのが3Cの強み

3Cは、大企業のマーケティング戦略だけのものではありません。
むしろ、
個人や小さなビジネスこそ、自分の軸を見つけるために活用できるフレームです。

「誰に」「何と違う形で」「自分らしさをどう活かすか?」
この3つを意識するだけで、やみくもな努力から抜け出し、選ばれる仕組みが少しずつ整っていきます。


3Cで考える習慣が、あなたの発信・行動を変えていく

いきなり完璧に整理しようとしなくて大丈夫。
ノートでもメモでもいいので、まずは自分の3Cを書き出してみることから始めてみてください。

きっと、「あ、自分ってこういう人に届けたかったんだ」
「意外と他と違うところあるかも」
そんな気づきが生まれるはずです。

次回は、3Cを実際に書き出して整理するためのワークや問いかけを紹介します。
「知識」で終わらせず、「行動」につなげていきましょう。

7. あなたのビジネスを3Cで書き出してみよう

頭でわかっていても、実際に手を動かさなければ何も変わらない

3Cの考え方は理解できた。
事例も見てイメージは掴めてきた。
──でも、ここで終わってしまってはもったいない。

あなたの中に眠っている「価値」を言葉にするには、書き出してみることがいちばんの近道です。

たった1枚の紙とペン、もしくはスマホのメモアプリ。
そこから、あなただけのポジショニングが見えてきます。


まずは、シンプルに3つのCを並べよう

「難しく考えない」がポイントです。
完璧な答えじゃなくていい。むしろ、今の“仮の答え”で大丈夫。


1. Customer(誰に届けたい?)

  • どんな人?年齢・性別・職業・ライフスタイル

  • 何に悩んでいる?どんな気持ちを抱えている?

  • どんな場面で「あなたの商品・サービス」と出会う?

例:在宅ワークで孤独を感じている主婦、気分転換になるアイテムを探している


2. Competitor(他にはどんな選択肢がある?)

  • 同じジャンルの商品やサービスは何がある?

  • その中で、人気があるもの・売れているものは?

  • 自分と「似ている点」と「違う点」は?

例:他の雑貨屋はデザイン重視。私は“メッセージ性”で差別化できるかも


3. Company(自分にしかない“らしさ”とは?)

  • 得意なこと、自然にできること、ついこだわってしまうこと

  • お客さんからよく言われる「あなたらしさ」は?

  • 自分が一番大切にしている価値観は?

例:自分がつらい時に助けられた言葉を、誰かにも届けたい。言葉に重ねたモノづくりがしたい


書いてみたら、「つながり」を考えてみよう

この3つの視点をバラバラに終わらせず、「どうつながるか?」を考えることで、あなたの価値提案=選ばれる理由が言語化できます。

たとえば──

「不安や孤独を感じやすい女性(Customer)」に向けて、
「感覚的で無機質な雑貨(Competitor)」ではなく、
「言葉に寄り添う優しいモノづくり(Company)」でつながる。

それが、そのまま“あなたの伝えたい世界観”になります。


思いつかないときは「過去の自分」をターゲットにしてもOK

「誰に届けたいか」が浮かばないときは、
昔の自分・かつての悩みを持っていた自分を思い出してください。

  • 何に困っていた?

  • どんな言葉に救われた?

  • どんな商品・サービスに出会いたかった?

その気持ちを持った人は、きっと今もどこかにいます。
過去の自分に届けるように作ることで、共感のある発信ができます。


書くことで、曖昧だったものが“カタチ”になる

SNSのプロフィール、商品ページ、チラシ、接客の言葉。
すべてにおいて、この3Cの視点があるだけで、「伝わり方」が変わってきます。

・誰に向けてるかが明確
・他とどう違うかが自覚できている
・自分の軸がブレない

この状態が整っているだけで、あなたのビジネスや活動は格段に“選ばれやすく”なります。


まとめ:3Cは考えた瞬間から、あなたの“ブランド”になる

3Cは、頭で学ぶためのものではありません。
自分の想いや強みを、「誰かの心に届くカタチに整える」ための道具です。

1枚のノートにでもいい。
あなたの「誰に」「何と違って」「どう届けるか」を、まずは言葉にしてみてください。

その言葉が、あなたのブランドの“芯”になります。

8. まとめ:3Cは“戦う”ためではなく、“選ばれる”ための思考法

売ることは、誰かと戦うことではない

マーケティングというと、「どう差をつけるか」「どう競合に勝つか」といった“競争”のイメージが強いかもしれません。
でも、3Cの本質はそこにはありません。

誰かの役に立ちたい。
自分の想いを届けたい。
必要としてくれる人に、ちゃんと届いてほしい。

その願いを実現するために、3Cは存在しています。


「売り込む」ではなく「選ばれる」ために

3Cを使うことで、あなたの活動やビジネスは次のように変わります。

  • 「自分の得意なこと」が、「誰かの価値あること」に変わる

  • 「なんとなくの発信」が、「刺さる言葉」に変わる

  • 「比べて落ち込む」が、「自分の軸を大切にする」に変わる

押し売りや無理な営業をしなくても、
“この人から買いたい”と思ってもらえる状態をつくることができるのです。


3Cは、あなた自身の“翻訳機”

想いはあるのに、うまく伝わらない。
商品はあるのに、うまく届かない。
そんなもどかしさを感じたときこそ、3Cの出番です。

Customer=誰に届けたいか?
Competitor=何と違うのか?
Company=あなたにしかない価値は?

この3つを通して、自分自身の価値を“誰かに伝わる言葉”に翻訳することができます。


最初から完璧な答えは出なくていい

3Cは、最初から正解を出すためのフレームワークではありません。
考えながら整えていくものです。
日々の経験や、お客さんの声を通じて、少しずつ“選ばれる形”が見えてきます。

大切なのは、「ずっと考え続けること」。
定期的に見直しながら、自分とお客さんの距離を縮めていきましょう。


最後に:3Cは、あなたの想いを“届く形”に変えてくれる

このNoteを通して、マーケティングの難しい話ではなく、
「自分の価値を届けるための考え方」として3Cに触れていただけたら幸いです。

世の中にはたくさんの選択肢があります。
その中であなたが「ちゃんと選ばれる」ようになること。
それは、ビジネスとしてだけでなく、自分の人生の軸がハッキリすることにもつながります。

あなたの想いが、必要な誰かに届きますように。

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