4C=伝え方
3C=立ち位置
あなたのマーケティングが進み出す起点になる話
- 4Cと3Cの違いとは?“届ける”と“立ち位置”を整理するマーケ思考の基本
- 視点の違いをつかむ
- 使い方の違いをつかむ
- 順番より“行き来”が大事
- 4Cと3Cは“届けるため”と“立つ場所を決める”ための両輪
- 1. 売れる仕組みは“3つのC”で見えてくる
- 2. Customer(市場・顧客)〜誰に、どんな価値を届けたいのか?
- 3. Competitor(競合)〜“敵”を見るのではなく、“参考”にする
- 4. Company(自社・自分)〜自分の“強み”を見つけて活かす
- 5. 3Cを組み合わせて考えると見えてくる「選ばれる理由」
- 6. 具体的な3C活用事例:スモールビジネス・サービス業・個人発信まで
- 7. あなたのビジネスを3Cで書き出してみよう
- 8. まとめ:3Cは“戦う”ためではなく、“選ばれる”ための思考法
4Cと3Cの違いとは?“届ける”と“立ち位置”を整理するマーケ思考の基本
「4Cと3Cって、どう違うの?」
マーケティングを学び始めたとき、多くの人が一度はこう思います。
-
4Cも3Cも大事って聞くけど、何がどう違うの?
-
自分にはどっちが合ってるんだろう?
-
使い分けのタイミングがわからない…
この記事では、そんなモヤモヤをスッキリ整理して、「今、自分はどっちを使うべきか」がわかるようにまとめています。
視点の違いをつかむ
「伝える」4Cと「立ち位置を決める」3C
まず、それぞれが何を目的とした考え方なのかを確認しましょう。
■ 4Cとは:「買いやすく」「伝わりやすく」する設計図
4Cは、顧客視点で「どう届けるか」を整えるフレームワークです。
-
Customer(顧客):相手が“本当にほしい”ものは何か?
-
Cost(コスト):価格だけでなく、手間・時間・不安など見えない負担は?
-
Convenience(利便性):すぐ使える・迷わない・簡単にたどり着ける仕組みは?
-
Communication(対話):一方通行ではなく、関係を築けているか?
ゴールは「スムーズに選ばれて、気持ちよく買ってもらう」こと。
■ 3Cとは:「誰に」「どんな価値を」「どう違う形で」届けるかを決める地図
3Cは、自分の立ち位置を見つけて、他と差別化できる軸を明確にするフレームワークです。
-
Customer(市場・顧客):どんなニーズが存在しているか?
-
Competitor(競合):その市場で他は何をしている?どんな強みがある?
-
Company(自社):その中で自分が提供できる価値は何か?
ゴールは「他と違う、自分らしいポジションで選ばれること」。
覚えておきたい視点の違い
-
4C:お客さんの心に「どう届くか」を整える
-
3C:自分が「どこに立って、どう届けるか」を決める
どちらも顧客視点ですが、
4Cは“届け方”、3Cは“届けるための土台”を考えるという違いがあります。
使い方の違いをつかむ
どんな場面で、どっちを使う?
● こんなときは【4C】を使おう
-
発信や販売の導線を見直したい
-
「伝え方」や「見せ方」がうまくいかない
-
お客さんの立場に立って、買いやすくしたい
→ SNS、販売ページ、接客トークなど、
“今あるもの”を改善したいときに強い味方
● こんなときは【3C】を使おう
-
「誰に届けたいのか」がぼやけている
-
自分の強みや違いがわからない
-
そもそも何を軸にビジネスをするか悩んでいる
→ 商品開発、起業・副業準備、サービスの方向性決めなど、
“これから考えること”に使える戦略思考
● 片方だけじゃ足りない
たとえば、
-
4Cだけだと「届け方は上手でも、何を届けるかがぼんやり」
-
3Cだけだと「芯はあるけど、届け方が整ってないから伝わらない」
だからこそ、両方を行き来しながら使うことが大切なんです。
順番より“行き来”が大事
あなたの状況で考える、使い分けのヒント
▶ まず「自分の軸を見つけたい」人は3Cから
→ 競合と比べて、自分にしかない価値は何か?
→ どんな人に、どんな気持ちで届けたいのか?
▶ すでに商品や発信がある人は4Cから
→ 届け方を見直すだけで、反応がガラッと変わることもあります
→ 特にSNSやネット販売では即効性あり
▶ 最終的に目指すのは…
-
3Cで“土台”を整える(誰に・何を・どう違うか)
-
4Cで“届け方”を磨く(共感され、選ばれる導線をつくる)
この両方がそろってはじめて、
自然に選ばれるブランドやビジネスができあがります。
4Cと3Cは“届けるため”と“立つ場所を決める”ための両輪
「どちらが正しいか」ではなく、
「どちらを今使うと、前に進みやすいか?」で考えること。
大切なのは、
“自分の想いを、必要としている誰かにきちんと届ける”
という目的です。
つづいて3Cの本編へ。
あなたの価値を言語化し、「らしさで選ばれる」ポジションを一緒に見つけていきましょう。
1. 売れる仕組みは“3つのC”で見えてくる
「なんであの商品は売れてるんだろう?」と思ったこと、ありませんか?
例えば──
・新商品なのに、発売直後からバズってる飲み物
・どこにでもあるのに、いつも行列ができてるパン屋
・同じようなサービスなのに、片方だけ人気が集中してる
そんな
「なぜか売れてるもの」には、
実は共通する“考え方の設計”があります。
それをシンプルに整理できるのが、
マーケティングの基本フレームワーク「3C」なんです。
3Cとは?
「3C」とは、以下の3つの“C”の頭文字を取ったものです。
-
Customer(市場・顧客)
-
Competitor(競合)
-
Company(自社・自分)
この3つの視点をバランスよく捉えることで、
「どうすれば売れるのか?」
「なぜ今、選ばれていないのか?」
が明確になっていきます。
「売る」のではなく「選ばれる」ために必要な3つの視点
たとえば、あなたが手作りアクセサリーを販売しているとしましょう。
一生懸命作ったのに、なかなか売れない。
それは、もしかすると“あなた自身の良さ”だけを見ていて、
「誰が欲しがってるか(Customer)」や、
「他と何が違うのか(Competitor)」の、
視点が抜けているのかもしれません。
3Cは、「いいものを作る」だけでなく、
“どうすれば選ばれるか”を考えるための地図です。
それぞれのCはこう活かす
-
Customer(顧客)
「どんな人が、何に悩んでいて、何を求めているか?」を深掘る視点。 -
Competitor(競合)
「他にはどんな商品・サービスがあって、何が支持されているのか?」を把握する視点。 -
Company(自社)
「自分は何ができるのか?どんな価値を出せるのか?」を客観的に捉える視点。
これらを“同時に見て、掛け合わせる”ことで、
自分だけのポジション=「選ばれる理由」が見えてきます。
「誰かの役に立ちたい」なら、3Cを味方にしよう
多くの人がビジネスや活動を始めるとき、こう考えます。
「自分の得意なことで、誰かの役に立ちたい」
「この商品をもっと多くの人に知ってもらいたい」
「どうすれば喜んでもらえるだろうか?」
その“想い”を、きちんと形にするには、感覚だけでは足りません。
想いを「伝わるカタチ」にするための思考の道具が、3Cです。
3Cは、難しい理論ではない
ビジネス書やマーケティング用語に出てくると難しそうに見えますが、3Cの考え方はとてもシンプルです。
-
「誰に届けたいのか?」(Customer)
-
「他とどう違うのか?」(Competitor)
-
「自分は何を大事にしているか?」(Company)
この3つを同時に考えることで、「選ばれる理由」がぐっと明確になります。
次回から、それぞれのCをじっくり深掘りしていきます。
次の章では、
まず「Customer(市場・顧客)」について掘り下げていきます。
「ペルソナって難しそう…」と思っている方でも大丈夫。
人の心に寄り添うように、
お客さんの本当の“欲しさ”を見つける方法を一緒に学んでいきましょう。
2. Customer(市場・顧客)〜誰に、どんな価値を届けたいのか?
「誰に売るか」を明確にできていますか?
いい商品を作ったのに売れない。
頑張ってSNSで発信しているのに反応が薄い。
それはもしかすると、届けたい相手=Customer(顧客)が曖昧なままだからかもしれません。
マーケティングで最も重要な問いのひとつが、
「誰の、どんな課題を、どう解決するか?」です。
顧客を“属性”ではなく、“感情”で見る
よくある失敗は、「ターゲットは20代女性」といった属性だけで判断してしまうこと。
でも、同じ20代女性でも、価値観やライフスタイルはバラバラですよね。
だからこそ、Customerを考えるときはこう問いかけてみてください。
-
この人は、どんな悩みを抱えている?
-
どんな毎日を送っていて、どんなときに不便を感じる?
-
何を手にしたら「嬉しい」「助かった」「ホッとした」と思える?
お客さんの“生活の場面”と“気持ち”にフォーカスすることで、より具体的に想像できます。
具体例:コーヒーを売るとしたら?
単に「コーヒーを売る」ではなく、
-
朝の眠気が抜けずにボーっとしている人へ
→「朝、1杯でスイッチが入るコーヒー」 -
頑張りすぎて疲れた夜の女性へ
→「寝る前にホッとひと息つけるカフェインレスコーヒー」 -
忙しいけどこだわりたい在宅ワーカーへ
→「お湯を注ぐだけでプロの味。香り高いドリップバッグ」
こうした視点の違いが、“同じ商品”でも、まったく違う切り口で届けられることに気づかせてくれます。
小さな共感が、大きな購入理由になる
人は「自分のことをわかってくれている」と感じた瞬間に、心が動きます。
特に今の時代、「とりあえずこれでいい」ではなく、
「これがいい」と選ばれる商品やサービスが強い。
たとえ価格が高くても、ブランドが知られていなくても、
“私のことをちゃんと考えてくれてる”と伝われば、
選ばれる確率は一気に上がります。
ペルソナが難しい人へ:まずは「たった一人」を思い浮かべる
「ペルソナ設計」と聞くと、
「細かく設定しなきゃ」と構えてしまいがちですが、
最初はもっとシンプルでOKです。
-
「こういう人に使ってほしいな」と思える、たった一人の顔
-
友達や家族、昔の自分など、リアルに想像できる人
その人の1日を想像して、
「どのタイミングで困ってるか?」「何に価値を感じるか?」を書き出してみましょう。
そこから、意外なヒントが生まれてくることもよくあります。
質問で整理する:Customerの理解を深める5つの問い
-
どんな人に使ってもらいたいか?
-
その人は何に悩んでいるか?
-
その悩みを放っておくとどうなるか?
-
どんな瞬間に「これがあってよかった」と感じるか?
-
それをどう伝えれば“私のことだ”と思ってもらえるか?
この問いを使って、自分の商品やサービスを顧客視点で“翻訳”してみてください。
Customerを理解するとは、生活と感情に寄り添うこと
顧客分析とは、データを眺めることではなく、誰かの暮らしを想像することです。
たった一人の「困った」「うれしい」に寄り添えたとき、あなたの商品は“特別な選択肢”になります。
次回は「Competitor(競合)」について、
「他とどう違うか?」を考えるヒントを、実例とともにお届けします。
3. Competitor(競合)〜“敵”を見るのではなく、“参考”にする
「似たような商品、たくさんあるな…」と感じたことはありませんか?
SNSを開けば、あなたと同じようなテーマで活動している人がたくさんいる。
ネットで検索すれば、似たような商品がすでに販売されている。
「自分なんて、今さら出しても意味ないかも…」
そう思ってしまう気持ち、すごくよくわかります。
でも、安心してください。
競合は“敵”ではなく、ヒントの宝庫です。
競合を「つぶす」必要なんて、まったくない
マーケティングで競合分析というと、
「勝たなきゃ」
「シェアを奪わなきゃ」
という発想になりがちですが、
個人や小さなビジネスではその考え方は逆効果。
競合は、
-
すでにお客さんがどんな価値を求めているか
-
どんな表現や切り口がウケているか
-
どこに“すき間”があるか
を教えてくれる、最高の“教材”です。
「売れている競合」ほど観察して学ぼう
例えば、自分がハンドメイド雑貨を販売しているとして、
同ジャンルで売れている作家がいるとします。
ただ見て「うまくいってるな〜」で終わらせるのではなく、
次の視点で見てみてください。
-
どんなターゲットに向けた言葉を使っているか?
-
写真や見せ方、ブランドの世界観はどう作られているか?
-
値段設定や販売チャネルはどうか?
-
どの投稿に反応が多いか?ファンとの関係性は?
こうして見ると、
「自分だったらここを変えられるかも」
「この分野は手薄かも」
といった差別化のヒントが見えてきます。
差別化は「違い」ではなく「らしさ」から生まれる
競合を見ていると、どうしても比較して落ち込んだり、
「もっと目立たなきゃ」
と思ってしまうことがあります。
でも大切なのは、“何が違うか”ではなく、“自分らしさをどう伝えるか”。
たとえば──
-
似たような商品でも、言葉の温度感が違う
-
機能は同じでも、ストーリーが違う
-
見せ方が同じでも、誰が作ったかで響く人が変わる
自分の価値を見つけるために、競合との違いを「否定」ではなく「ヒント」として活用してみましょう。
実例:競合分析でポジションを見つけた個人店の話
地元の商店街にある小さなベーカリー。
周囲には大手チェーンもあり、当初は価格でも商品数でも太刀打ちできませんでした。
でも、近所の競合店を分析してみると、
・大手にはない、アレルギー対応のパンが少ない
・手づくり感のあるPOPや接客が薄い
・朝型に強いが、夕方以降は選べる商品が少ない
この“すき間”に注目し、
・グルテンフリー・卵不使用パンの開発
・顔の見えるコミュニケーションとストーリー発信
・仕事帰りの人向けの商品展開
を始めた結果、常連客が増えて口コミで話題に。
「勝つ」必要はなかったのです。「自分の立ち位置を見つける」ことが、最強の戦略でした。
競合を観察するときの3つの問い
-
その競合は「誰に」「何を」「どう届けている」か?
-
なぜその人たちは、その商品を選んでいるのか?
-
自分にしか出せない“温度”や“価値”はどこにあるか?
この問いをベースに、自分の「伝え方」や「見せ方」に活かしてみてください。
競合は恐れなくていい。むしろ感謝すべき存在かもしれない
誰かと比べて不安になるのではなく、
違いを見つけて、自分らしさを磨くための参考書
として競合を見ましょう。
競合がいるということは、そこにニーズがある証拠です。
そして、あなたにしかできない表現や届け方がきっとあるはずです。
次は、いよいよ3つ目のC、「Company(自社・自分)」へ。
自分の“強み”や“軸”を掘り下げることで、自然とブレない発信ができるようになります。
4. Company(自社・自分)〜自分の“強み”を見つけて活かす
あなたの強みは何ですか?
この問いにすぐに答えられる人は、実は少数派です。
「特別な実績があるわけじゃない」
「スキルも中途半端だし、他と比べると弱いかも…」
そう思ってしまうのは当然ですが、安心してください。
Company(自社)=「あなたが持っている価値」は、必ずどこかに存在します。
そしてそれは、他人の評価ではなく「お客さんとの接点」の中に見つかります。
強みとは「人より秀でていること」ではなく、「喜ばれていること」
マーケティングにおける「強み」は、
・資格
・フォロワー数
・肩書き
のような“わかりやすいすごさ”だけではありません。
むしろ、
-「あなたに相談すると安心する」
-「あなたの言葉だと素直に受け取れる」
-「この小さなこだわりが好き」
といった、お客さんとの“感情のやり取り”の中にこそ、あなたの価値は宿っています。
自分の中の「当たり前」が、誰かにとっての「特別」かもしれない
あなたにとっては当たり前のことが、
他の人には「どうやってるの!?」「すごい!」と驚かれること、ありませんか?
-
Excelを使いこなせる
-
イラストの構図が得意
-
丁寧な説明ができる
-
人の話を最後まで聞ける
こうした“自分では気づきにくい価値”こそが、競合との差別化につながります。
強みは、外に出して初めて“伝わる価値”になるのです。
実例:小さなこだわりを強みに変えたカフェの話
ある地方の小さなカフェ。
料理も内装もごく普通で、SNS映えするわけでもない。
でも、常連が絶えず、口コミで評判に。
理由は「お客さん一人ひとりの名前を覚えている」こと。
2回目の来店でも「◯◯さん、こんにちは」と声をかけられる。
さらに、過去の注文や好みに合わせて「今日はこれもおすすめですよ」と自然に会話が続く。
これは大手チェーンには真似できない、“小さなこだわり”から生まれた唯一の価値です。
自分の「好き」「大切にしたいこと」に目を向けよう
Company(自分の価値)を掘り下げるには、
「何が得意か?」だけでなく、「何を大切にしているか?」を考えるのも大切です。
たとえば──
-
丁寧な仕事をしたい
-
お客さんと長く関係を築きたい
-
自然や地域とつながる形で届けたい
-
自分も楽しみながらやりたい
その価値観こそが、言葉・サービス・体験ににじみ出て、選ばれる理由になります。
自分の強みを見つけるための問いかけ
-
過去に「ありがとう」と言われたことは?
-
自分では普通なのに、よく褒められることは?
-
お客さんが喜んでくれたポイントはどこ?
-
他の人ならやらないけど、ついこだわってしまうことは?
-
どんな人とつながっていたいと思っている?
これらを紙に書き出してみることで、「Company=あなたの価値の輪郭」が少しずつ見えてきます。
「あなたに頼みたい」と言われる理由は、あなたの中にある
他人と比べなくていい。
大きな数字や成果じゃなくていい。
“あなたらしさ”に共感した人が、あなたを選んでくれる──
それがCompanyの本質です。
次章では、ここまでの3Cをどう組み合わせて「選ばれる仕組み」をつくるのか。
いよいよ3Cの“掛け合わせ”に入っていきます。
5. 3Cを組み合わせて考えると見えてくる「選ばれる理由」
1つずつのCを理解するだけでは、まだ不十分
これまで、「お客さんは誰か(Customer)」「競合はどうか(Competitor)」「自分の強みは何か(Company)」を個別に見てきました。
それぞれ大切な視点ですが、3Cの本当の力は“組み合わせ”にあります。
3つの視点を重ねて考えることで、あなたの商品やサービスの「選ばれる理由」=ポジショニングが見えてきます。
3つの円が重なる“中心点”を見つける
よく図解で出てくる、3つの円が重なる「真ん中の部分」。
あれこそが、あなたのポジションです。
言い換えると──
-
Customer(誰に):ニーズがある人に向けて
-
Competitor(何と違う):他と違う切り口で
-
Company(何ができる):自分らしい価値を活かして
この3点が重なっているところにこそ、「無理なく売れて、喜ばれる場所」があるのです。
実例:3Cでポジションを明確にしたイラスト作家のケース
フリーランスのイラスト作家Aさん。
SNSでは同じジャンルの作家が溢れており、目立てずに悩んでいました。
あるとき、3Cの視点で自分を見直してみたそうです。
-
Customer(顧客):SNS投稿や商品に“優しさ”や“安心感”を求めている人
-
Competitor(競合):線が細くておしゃれなイラストを描く人が多い
-
Company(自分):ほんわかした色づかい、見る人の心が和む雰囲気
そこで彼女は、明るいパステル調で「疲れた日のひとことイラスト」を投稿するように。
「今日これ見て泣いた」「癒された」という反応が増え、そこからLINEスタンプやグッズが人気に。
「競合と違う」「お客さんの気持ちに刺さる」「自分らしい」
この3点を一致させたことで、Aさんのポジションは唯一無二になりました。
「選ばれる理由」は“論理”ではなく“共感”でつくる
マーケティングというと、数字や戦略で考えがちですが、
今の時代のポジショニングは“感覚”や“共感”の設計がカギです。
-
「この人、わかってくれてる」
-
「なんか好き」「信頼できる気がする」
-
「こっちのほうが“私っぽい”」
そう思ってもらえた瞬間に、「選ばれる」が生まれます。
そのためにも、3Cを“売る側の論理”ではなく、“お客さんの目線”で組み合わせて考えることが大切です。
あなたの「3C重なりポイント」を見つけるヒント
-
Customer(誰に)
→ 今、自分の商品やサービスを最も喜んでくれそうな人はどんな人か? -
Competitor(他と違う点)
→ 他の商品・発信・サービスと比べて、自分にしかない特徴は何か? -
Company(自分らしさ)
→ 得意なこと、自然にできること、大切にしたいことは何か?
この3つの答えが“言葉”でつながったとき、
あなたならではの「選ばれるストーリー」ができあがります。
3Cは“分析のため”ではなく“自分を届けるため”の設計図
3Cは、売るための戦略というよりも、
自分の想い・得意・世界観を、必要な人にちゃんと届けるためのフレームワークです。
考えることは少し難しいかもしれません。
でも、深く考えれば考えるほど、「自分らしい道筋」が見えてきます。
次回は、いくつかの実例を交えながら、3Cを実際のビジネスにどう活かしていけるか?
あなたのアイデアを行動につなげるヒントをお届けします。
6. 具体的な3C活用事例:スモールビジネス・サービス業・個人発信まで
「3C、理解はできたけど、実際どう使えばいいの?」
そんな声にお応えして、今回は3Cを活用して成果を出した実例を紹介します。
それぞれの立場に近い例を見つけて、自分のビジネスや活動に当てはめて考えてみてください。
事例①:地域密着のリラクゼーションサロン(サービス業)
Customer(顧客)
・近隣の30〜50代の主婦層
・「ガチガチの整体より、気軽に通える癒しがほしい」人たち
Competitor(競合)
・強めの整体や激安マッサージ店は多数ある
・価格競争が激しく、“違い”が出しにくい市場
Company(自社)
・「施術中に安心して泣ける」「人に言えない悩みも話せる」空間づくり
・アロマやお茶、照明にこだわった“癒され体験”の演出
→ 「心と体の癒しが同時に叶う場所」としてポジショニング
SNSやチラシでも“施術内容”より“感情”にフォーカスした言葉選びにシフト
→ 口コミ中心でリピート率アップ&価格競争から脱出
事例②:副業で始めたオリジナルTシャツ販売(スモールビジネス)
Customer(顧客)
・10〜20代のファッションに個性を出したい層
・“他人とカブらない”ことを重視する感性重視のユーザー
Competitor(競合)
・ロゴTやキャラTなどの大量生産品
・デザイン性が高くても、どこかで見たような感じのものが多い
Company(自分)
・「誰かの一言に救われた経験」から着想した、言葉系デザインが得意
・SNSで“刺さるフレーズ”を日常投稿→フォロワーから商品化の声が多発
→ 「言葉に救われたい人のためのTシャツブランド」として展開
単なる物販ではなく“共感できる言葉を着る”という体験に価値を持たせることでファンを獲得
事例③:個人で発信をしているライター(個人活動)
Customer(顧客)
・発信初心者、特にブログやXで「何を書けばいいかわからない」人
・書くことが苦手な個人事業主やフリーランス
Competitor(競合)
・情報量の多いSEO系ライターやWebマーケ専門家
・「知識はあるけど、ちょっと敷居が高い」と感じられがち
Company(自分)
・元・書くのが苦手だった経験をもとに、感覚的に書けるテンプレが得意
・難しい言葉を使わず「友達に話すように伝える」文章を提案
→ 「書けない人の気持ちがわかる、やさしいライター」としてポジショニング
クライアントからは「安心して相談できる」「頼みやすい」と継続依頼が増加
どんなジャンルでも使えるのが3Cの強み
3Cは、大企業のマーケティング戦略だけのものではありません。
むしろ、
個人や小さなビジネスこそ、自分の軸を見つけるために活用できるフレームです。
「誰に」「何と違う形で」「自分らしさをどう活かすか?」
この3つを意識するだけで、やみくもな努力から抜け出し、選ばれる仕組みが少しずつ整っていきます。
3Cで考える習慣が、あなたの発信・行動を変えていく
いきなり完璧に整理しようとしなくて大丈夫。
ノートでもメモでもいいので、まずは自分の3Cを書き出してみることから始めてみてください。
きっと、「あ、自分ってこういう人に届けたかったんだ」
「意外と他と違うところあるかも」
そんな気づきが生まれるはずです。
次回は、3Cを実際に書き出して整理するためのワークや問いかけを紹介します。
「知識」で終わらせず、「行動」につなげていきましょう。
7. あなたのビジネスを3Cで書き出してみよう
頭でわかっていても、実際に手を動かさなければ何も変わらない
3Cの考え方は理解できた。
事例も見てイメージは掴めてきた。
──でも、ここで終わってしまってはもったいない。
あなたの中に眠っている「価値」を言葉にするには、書き出してみることがいちばんの近道です。
たった1枚の紙とペン、もしくはスマホのメモアプリ。
そこから、あなただけのポジショニングが見えてきます。
まずは、シンプルに3つのCを並べよう
「難しく考えない」がポイントです。
完璧な答えじゃなくていい。むしろ、今の“仮の答え”で大丈夫。
1. Customer(誰に届けたい?)
-
どんな人?年齢・性別・職業・ライフスタイル
-
何に悩んでいる?どんな気持ちを抱えている?
-
どんな場面で「あなたの商品・サービス」と出会う?
例:在宅ワークで孤独を感じている主婦、気分転換になるアイテムを探している
2. Competitor(他にはどんな選択肢がある?)
-
同じジャンルの商品やサービスは何がある?
-
その中で、人気があるもの・売れているものは?
-
自分と「似ている点」と「違う点」は?
例:他の雑貨屋はデザイン重視。私は“メッセージ性”で差別化できるかも
3. Company(自分にしかない“らしさ”とは?)
-
得意なこと、自然にできること、ついこだわってしまうこと
-
お客さんからよく言われる「あなたらしさ」は?
-
自分が一番大切にしている価値観は?
例:自分がつらい時に助けられた言葉を、誰かにも届けたい。言葉に重ねたモノづくりがしたい
書いてみたら、「つながり」を考えてみよう
この3つの視点をバラバラに終わらせず、「どうつながるか?」を考えることで、あなたの価値提案=選ばれる理由が言語化できます。
たとえば──
「不安や孤独を感じやすい女性(Customer)」に向けて、
「感覚的で無機質な雑貨(Competitor)」ではなく、
「言葉に寄り添う優しいモノづくり(Company)」でつながる。
それが、そのまま“あなたの伝えたい世界観”になります。
思いつかないときは「過去の自分」をターゲットにしてもOK
「誰に届けたいか」が浮かばないときは、
昔の自分・かつての悩みを持っていた自分を思い出してください。
-
何に困っていた?
-
どんな言葉に救われた?
-
どんな商品・サービスに出会いたかった?
その気持ちを持った人は、きっと今もどこかにいます。
過去の自分に届けるように作ることで、共感のある発信ができます。
書くことで、曖昧だったものが“カタチ”になる
SNSのプロフィール、商品ページ、チラシ、接客の言葉。
すべてにおいて、この3Cの視点があるだけで、「伝わり方」が変わってきます。
・誰に向けてるかが明確
・他とどう違うかが自覚できている
・自分の軸がブレない
この状態が整っているだけで、あなたのビジネスや活動は格段に“選ばれやすく”なります。
まとめ:3Cは考えた瞬間から、あなたの“ブランド”になる
3Cは、頭で学ぶためのものではありません。
自分の想いや強みを、「誰かの心に届くカタチに整える」ための道具です。
1枚のノートにでもいい。
あなたの「誰に」「何と違って」「どう届けるか」を、まずは言葉にしてみてください。
その言葉が、あなたのブランドの“芯”になります。
8. まとめ:3Cは“戦う”ためではなく、“選ばれる”ための思考法
売ることは、誰かと戦うことではない
マーケティングというと、「どう差をつけるか」「どう競合に勝つか」といった“競争”のイメージが強いかもしれません。
でも、3Cの本質はそこにはありません。
誰かの役に立ちたい。
自分の想いを届けたい。
必要としてくれる人に、ちゃんと届いてほしい。
その願いを実現するために、3Cは存在しています。
「売り込む」ではなく「選ばれる」ために
3Cを使うことで、あなたの活動やビジネスは次のように変わります。
-
「自分の得意なこと」が、「誰かの価値あること」に変わる
-
「なんとなくの発信」が、「刺さる言葉」に変わる
-
「比べて落ち込む」が、「自分の軸を大切にする」に変わる
押し売りや無理な営業をしなくても、
“この人から買いたい”と思ってもらえる状態をつくることができるのです。
3Cは、あなた自身の“翻訳機”
想いはあるのに、うまく伝わらない。
商品はあるのに、うまく届かない。
そんなもどかしさを感じたときこそ、3Cの出番です。
Customer=誰に届けたいか?
Competitor=何と違うのか?
Company=あなたにしかない価値は?
この3つを通して、自分自身の価値を“誰かに伝わる言葉”に翻訳することができます。
最初から完璧な答えは出なくていい
3Cは、最初から正解を出すためのフレームワークではありません。
考えながら整えていくものです。
日々の経験や、お客さんの声を通じて、少しずつ“選ばれる形”が見えてきます。
大切なのは、「ずっと考え続けること」。
定期的に見直しながら、自分とお客さんの距離を縮めていきましょう。
最後に:3Cは、あなたの想いを“届く形”に変えてくれる
このNoteを通して、マーケティングの難しい話ではなく、
「自分の価値を届けるための考え方」として3Cに触れていただけたら幸いです。
世の中にはたくさんの選択肢があります。
その中であなたが「ちゃんと選ばれる」ようになること。
それは、ビジネスとしてだけでなく、自分の人生の軸がハッキリすることにもつながります。
あなたの想いが、必要な誰かに届きますように。